サミュエルソン 【経済分析の基礎】顕示選好理論や反証可能性など、わかりやすく解説

Introduction:サミュエルソンはどんな人?

ポール・アンソニー・サミュエルソン(Paul Anthony Samuelson)とは、

1915年〜2009年にアメリカで活躍した、新古典派総合の経済学者

です。

サミュエルソンは「経済分析の基礎」「経済学」などを著し、世界中に名を轟かせました。

ノーベル経済学賞はサミュエルソンのために作られたと言われるという逸話があるほどの大経済学者です。

本記事では、経済分析の基礎」の内容解説 ②サミュエルソンの業績について解説していきます。

Part 1:内容解説「経済分析の基礎」

「経済分析の基礎」は、サミュエルソンの博士論文に基づく著書であり、「経済学」と並ぶ二大主著です。

サミュエルソンは消費者理論の合理性を「顕示選好理論」を用いて説明しました。

「経済分析の基礎」を①顕示選好理論 ②反証可能性という2点から解説していきます。

【経済分析の基礎】 要点
・顕示選好理論:消費者の消費行動を観察すれば、その消費者の選好順序が明らかになるという考え
・顕示選好の弱公理:消費の組み合わせが選択肢A・選択肢Bとあったとき、顕示選好が「A>B」の場合、効用最大化の原理に従う限りは「A<B」という顕示選好は起こり得ないという公理
・顕示選好の強公理:消費の組み合わせがA・B・Cとあるとき、顕示選好が「A>B」「B>C」の場合、「A>C」という顕示選好が示され、効用最大化の原理に従う限りは「A<C」という顕示選好は起こり得ないという公理
・経済学は科学的であるべき
・反証可能性:実験や観察によって、仮説が証明されない可能性があること

1−1 顕示選好理論

顕示選好理論とは、

消費者の消費行動を観察すれば、その消費者の選好順序が明らかになるという考え

です。

言い換えると、「消費行動を観察することで、消費者の選好(好き嫌いの順序)が顕示される」ということです。

例えば、Xさんが選択肢A(ピザ3枚・コーラ1本)と選択肢B(ピザ1枚・コーラ2本)を迷っている場合を想定します。

Xさんが選択肢Aを選んだ場合、その消費行動からXさんの選好は、

選択肢A>選択肢B

となります。

このように、Xさんの消費行動を観察するとXさんの選好がわかります。

以上のように、顕示選好理論とは、市場のデータ(価格など)から個人の選好が明らかになるという理論です。

そして、この理論に基づいて「顕示選好の弱公理」「顕示選好の強公理」という2つの法則を発見しました。

1−1−1 顕示選好の弱公理

顕示選好の弱公理とは、

消費の組み合わせが選択肢A・選択肢Bとあったとき、顕示選好が「A>B」の場合、効用最大化の原理に従う限りは「A<B」という顕示選好は起こり得ないという公理

です。

紅茶と角砂糖の組み合わせを用いて説明します。

Xさんは、紅茶を飲むときにいつも角砂糖を4つ使います。

この時の顕示選好は、「紅茶1杯・角砂糖4つ」という組み合わせです。

なので、Xさんに紅茶と角砂糖を提供すれば、「紅茶1杯・角砂糖4つ」という消費行動をします。

効用を最大化する限り、「紅茶1杯・角砂糖4つ」以外の行動をとるのはありえないというのが顕示選好の弱公理です。

1―1−2 顕示選好の強公理

顕示選好の強公理とは、

消費の組み合わせがA・B・Cとあるとき、顕示選好が「A>B」「B>C」の場合、「A>C」という顕示選好が示され、効用最大化の原理に従う限りは「A<C」という顕示選好は起こり得ないという公理

です。

これは、顕示選好の弱公理よりも消費の組み合わせを増やしたパターンです。

顕示選好の弱公理と同じように、効用を最大化する限り、顕示された選好に従うということです。

顕示選好の強公理は「A=B」「B=C」ならば、「A=C」という三段論法に似ている部分もあります。

1−2 反証可能性

サミュエルソンは、経済学は科学的であるべきという考えに基づいて、反証可能性がある定理こそ科学的であると主張しました。

反対にいうと、反証可能性のない定理は科学的な定理ではないと言いました。

反証可能性とは、

実験や観察によって、仮説が証明されない可能性があること

です。

つまり、科学的であるためには、仮説が実験などによって誤りであることが証明させる可能性を持っていなければならないということです。

例えば、アインシュタインの相対性理論が挙げられます。

光も普通の物体と同じように、太陽のような重い物体にひきつけられて曲がる」という仮説に対し、「太陽の近くを通ってくる星の光が曲がるので、地球から見える星の位置が変化するはず」という反証可能性があります。

そのため、アインシュタインの相対性理論は「科学的」であると言えるということです。

サミュエルソンは顕示選好理論には反証可能性があるため、科学的であると主張しました。

このようにサミュエルソンは、経済学は反証可能性が必要で科学的であるべきであると主張しました。

Part 2:業績

サミュエルソンは、経済学の発展に多大な貢献をしました。

サミュエルソン 業績

・著作・論文

  「経済分析の基礎」

  「経済学」

  「消費者行動の純粋理論ノート」

  「乘數理論と加速度原理』

・受賞

  第1回ジョン・ベイツ・クラーク賞受賞(1947年)

  第2回ノーベル経済学賞受賞(1970年)

・理論

  顕示選好の理論

  ストルパー=サミュエルソンの定理

  サミュエルソン=ヒックスの乗数・加速度モデル 

  バーグソン=サミュエルソン型社会厚生関数

サミュエルソンは多くの著書や論文を執筆したり、経済理論を提唱し、経済学に大きく貢献しました。

そんなサミュエルソン ですが、

「サミュエルソンは『経済分析の基礎』で名声を、『経済学』で富を得た」

と言われています。

彼は、「経済分析の基礎」でジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞し、一躍有名になりました。

その後「経済学」を出版し、世界で一千万部以上のベストセラーとなりました。

Part 3:おすすめ本

もっと「経済分析の基礎」・サミュエルソンを学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。

Part 4:まとめ

いかがでしたか?

「経済分析の基礎」をまとめると、

【経済分析の基礎】 要点
・顕示選好理論:消費者の消費行動を観察すれば、その消費者の選好順序が明らかになるという考え
・顕示選好の弱公理:消費の組み合わせが選択肢A・選択肢Bとあったとき、顕示選好が「A>B」の場合、効用最大化の原理に従う限りは「A<B」という顕示選好は起こり得ないという公理
・顕示選好の強公理:消費の組み合わせがA・B・Cとあるとき、顕示選好が「A>B」「B>C」の場合、「A>C」という顕示選好が示され、効用最大化の原理に従う限りは「A<C」という顕示選好は起こり得ないという公理
・経済学は科学的であるべき
・反証可能性:実験や観察によって、仮説が証明されない可能性があること

以上です。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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