ジェフリー・サックスとは、
です。
サックスは、貧困に関する研究を行っている経済学者で、世界銀行やWHOといった世界機関を通じて活動をしています。
本記事では、サックスの「貧困の終焉」を解説していきます。
Part 1:【貧困の終焉】 内容解説
サックスの「貧困の終焉」をという2点から解説していきます。
1−1 開発の梯子と貧困の罠
サックスは、発展度合いを「開発の梯子」という言葉で表しました。
開発の梯子の上にいるのは、先進国のアメリカや日本といった国々であり、下のほうにいるのは発展途上国です。
そして極度の貧困に苦しんでいる国は、開発の梯子に足をかけれていない状況です。
開発の梯子に足をかけることができれば上に登っていける、つまり経済発展できるというのがサックスの考えです。
しかし、貧困から抜け出すために開発の梯子に足をかけようとしても、「貧困の罠」があるため、貧困から抜け出せない構造があるといいます。
貧困の罠とは、
である。
これは、「低所得→低教育→低所得」というループです。
自由放任主義の経済学の理論では、市場に任せておけばそのような人も救われます。
しかしサックスは、「極度の貧困」で市場に参加できない人々は、資本を蓄積する余裕がない(その日の生活に必死である)ため、貧困から抜け出せないと主張しました。
サックスは、極度の貧困から抜け出すために資本の援助をすべきであると主張しました。
1−2 人的資本
サックスは、貧困国が貧困の罠から抜け出して開発の梯子に足をかけるには、「人的資本」を援助するべきであると主張しました。
経済学において資本は、大きく3つに分けられます。
① 物的資本:建物やトラックなどの物的な資本(例:工場や工事用のトラックなど)
② 人的資本:健康・教育など人間に投資されるもの
③ 金融資本:金銭や株式といった金融の資本
サックスは、貧困国の人的資本に投資することで貧困から抜け出せると考えました。
特に、人的資本の中の健康と教育に言及しています。
1−2−1 健康
サックスは、貧困と病気の悪循環を指摘しました。
貧困国に病気が蔓延すると、十分な医療体制が欠如していたり、劣悪な衛生環境によって病人・死者が増加します。
そうすると残された家族がさらに困窮化し、教育のアクセスがさらに困難になります。
そして、労働力人口と人的資本が減少し、経済成長が抑制されます。
最終的にはさらなる貧困に陥ってしまうという悪循環に陥ります。
実際に、サハラ以南アフリカの国々で多くの労働力人口がHIV/AIDSに感染しているという状況があります。
HIV/AIDSによって、子どもを学校に生かせることが困難になる上、国の労働力不足という2つの問題が起きます。
このような状況から、貧困の罠から脱出するのが難しくなります。
そのため、サックスは健康という人的資本に投資をするべきであると主張しました。
具体例としては、医療体制の確立や医療器具の提供、人材の派遣などが挙げられます。
1−2−2 教育:児童労働
サックスは、教育の機会を奪う児童労働に着目しました。
貧困国では、多くの子どもたちが生活をしていくため、家族を支えるために労働をせざるを得ない状況にいます。
このような状況では、「低所得→低教育→低所得」という貧困の罠から脱却することはできません。
教育を受けずに労働をしても、高収入を得る可能性が低くなります。
児童労働がなくても生活を送れるような支援とともに、充実した教育を受けることができる環境を整える援助が必要です。
このような人的資本への投資をすれば、いずれは貧困国は貧困の罠から脱出し、開発の梯子を登ることができるということです。
Part 2:おすすめの書籍
もっとサックス・「貧困の終焉」を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。
Part 3:まとめ
いかがでしたか?
「貧困の終焉」をまとめると、
以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました。