ジェームズ・マギル・ブキャナン・ジュニア(James McGill Buchanan Jr.)は、
です。
ブキャナンは公共選択論を提唱し、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者です。
本記事では、ブキャナンの「レント・シーキングとプロフィット・シーキング」を解説していきます。
Part 1:内容解説 【レント・シーキングとプロフィット・シーキング】
①プロフィットシーキング ②レントとは ③レントシーキングという3点から解説していきます。
1−1 プロフィットシーキングとは
プロフィットシーキング(Profit-seeking)とは、「利益を追求すること」です。
両方に共通しているシーキングというのは、「seek=求める」という単語のingがついた形です。
つまりそれぞれ、「レント追求」、「プロフィット追求」という意味になります。
プロフィットとは「利益」という意味なので、「利益追求」を意味します。
ブキャナンは、プロフィットシーキングは、企業の利益追求行動を示し、これは適切な企業行動であると主張しました。
反対に、レントシーキングは社会にとって望ましくないため、行うべきではないと考えられました。
1−2 レントとは
経済学でいうレントとは、「超過利潤」を意味します。
完全競争市場では、優れた資源の投入や技術革新などによる短期的な超過利潤が発生します。
しかし、長期的に見るとその産業への新規参入が相次ぐことによって利潤はゼロに落ち着きます。
このような一時的な超過利潤をレントと言います。
例えば、先進的なAI技術の開発に成功したIT企業が、その技術を使ったサービスを展開することで、一時的なレントを獲得します。
他には、非常に美味しいケーキを作る技術を持つケーキ屋は、普通のケーキ屋よりも高い利潤を得られるため、経済的レントを獲得します。
完全競争市場では、このような一時的な独占も他社の参入によって同類のサービス・商品が供給されるようになるため、価格が下落します。
特殊な技術を駆使して開発したAI技術も、競合他社が似たような技術を開発するため、最初に開発した企業は価格を下げざるをえなくなるということです。
このようなサイクルをレント創造(rent creation)と呼びます。
1−3 レントシーキング
レントシーキングは、レントを一時的なものでなく、長期間に独占しようとする行為です。
通常では他社の参入によって価格が下落し、レントが失われるところを、法律などの規制によってレントを享受し続ける状態です。
企業家が政治家に賄賂を送り、自社の産業に他社が参入しないような規制を作ったり、独占権を付与したりするなどの行為といえます。
レントシーキングが起こると、本来価格が下落するはずの商品・サービスが高価なままのため、消費者は不利益を被ります。
レント創造のサイクルでは、便益を享受できるのは消費者でしたが、レントシーキングでは消費者が損をします。
AI技術を開発した産業に参入する規制が整備されれば、最初の企業がレント(超過利潤)によって儲け続けます。
しかし、サービスを利用する消費者は価格が下落しないまま対価を払い続けるため、不利益となります。
企業家には、このようなレントシーキングのインセンティブが働くため、なんとか独占権を獲得するのに資源を使うようになります。
本来ならば、一時的なレントの獲得のために研究や開発に使うはずの資金を、独占的なレントの獲得のために賄賂や接待といったものに使ってしまうことになります。
これでは、技術開発という点でも、消費者にとっても不利益になります。
ブキャナンは、このようなレントシーキングを批判しました。
Part 2:おすすめの書籍
もっとブキャナン・「レント・シーキングとプロフィット・シーキング」を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。
Part 3:まとめ
いかがでしたか?
「レント・シーキングとプロフィット・シーキング」をまとめると、
以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました。