ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter)とは、
です。
シュンペーターはイノベーションや信用創造・景気循環などの理論を展開し、経済学に重要な貢献をしました。
また、「経済発展の理論」や「資本主義・社会主義・民主主義」などの名著を残しています。
シュンペーターは、「企業による不断のイノベーションが経済を発展させる」という理論を提唱したことで有名です。
本記事では、「資本主義・社会主義・民主主義」の内容を解説していきます。
Part 1:内容解説「資本主義・社会主義・民主主義」
シュンペーターは「資本主義・社会主義・民主主義」において、資本主義はいずれ社会主義に移行すると主張しました。
ここでは、経済学的視点に絞って①なぜ資本主義は社会主義より優れているか? ②社会主義への移行 ③社会主義は機能するか?という3点から解説していきます。
1−1 なぜ資本主義は社会主義より優れているか?
シュンペーターは、資本主義が社会主義よりも優れているという主張を新結合と創造的破壊という概念から説明しました。
新結合とは、
です。
これは、様々な生産方法や輸送方法、新市場などを組み合わせるという意味です。
この「新結合」によって「創造的破壊」が起こると考えました。
創造的破壊とは、
です。
創造的破壊をわかりやすく言い換えると、「イノベーションによる経済発展」ということです。
スマホの普及によるガラケーの衰退などが例です。
新しいものの台頭とともに古いものが駆逐され、これを繰り返すことで経済が発展するということです。
創造的破壊を起こした企業は、新たな方法や技術によって「一時的な独占的利潤(レント)」を得ることができます。
そして、このような資本主義発展の特徴である「新結合」・「創造的破壊」を、経済学では2つの理由から十分に解き明かすことはできないと主張しました。
1つ目に、完全競争を前提としている経済学では、資本主義の仕組みを解明できないからです。
完全競争はあらゆる産業への自由な参入を意味するため、現実の資本主義を十分に反映できていないと考えました。
2つ目に、価格の完全な伸縮性を前提とした経済学には 資本主義の仕組みを解明できないからです。
価格の伸縮性とは、価格メカニズムにしたがって、均衡点に向かって価格が変動するということです。
このような前提では、資本主義発展の特徴である創造的破壊などを分析できないため、経済理論は不十分であると主張しました。
新結合・創造的破壊によって経済発展をする資本主義は、徐々に社会主義に移行するとシュンペーターは考えました。
1−2 社会主義への移行
なぜ資本主義が社会主義へと移行すると予想したのでしょうか?
それは、資本主義の成熟による経済発展(新結合・創造的破壊)の衰退です。
創造的破壊の繰り返しにより資本主義が成熟していくと、徐々にその限界を迎えてきます。
シュンペーターは、無限に創造的破壊が起こり、経済発展が可能であるとは思いませんでした。
技術革新が一部の天才による発明ではなく、テクノロジーによる計算によって可能になるため、企業家の役割も減少していくと考えられました。
企業家の存在価値が薄れていくとともに、知識人による資本主義への反発が起こることで、資本主義は徐々に社会主義へと傾倒していきます。
シュンペーターは、このような資本主義の成熟(成功)が社会主義をもたらすと主張しました。
では、社会主義は機能するのでしょうか?
1−3 社会主義は機能するか?
シュンペーターは、衰退期の資本主義よりは社会主義の方が優れていると結論づけました。
資本主義:市場原理に任せ、売れ残りや廃棄などの無駄や知識人による反発などで、不確実性が高い
社会主義:価格・生産量の一元的決定により、資源・費用の節約になる
このような分析から、シュンペーターは衰退期の資本主義よりは社会主義の方が優れていると結論づけました。
ちなみに、マルクスは資本主義の失敗によって社会主義に移行すると考えましたが、シュンペーター資本主義の成功(成熟)によって社会主義に移行すると主張しました。
Part 2:おすすめ本
もっと「資本主義・社会主義・民主主義」・シュンペーターを学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。
Part 3:まとめ
いかがでしたか?
「資本主義・社会主義・民主主義」をまとめると、
以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました。