レオン・ワルラス(Leon Walras)とは、
です。
ワルラスは、メンガー・ジェボンズらとともに「限界効用理論」を同時期に唱えた新古典派の経済学者です。
ワルラスは、現代の経済学に重要な影響を及ぼした経済学者です。
彼は著書である「純粋経済学要論」において、ワルラスの法則・一般均衡理論を唱えました。
本記事では、①ワルラスの法則・一般均衡理論の解説 ②ワルラスの影響について解説していきます。
Part 1:内容解説
「純粋経済学要論」は、1877年にワルラスによって出版された著作です。
この中で述べられた、①ワルラスの法則 ②一般均衡理論について説明していきます。
1−1 ワルラスの法則
ワルラスの法則とは、
です。
わかりやすくまとめると、
売れ残り(超過供給)や品不足(超過需要)は自然に解消されるという考え
ということです。
定義ではわかりにくいので、順序立てて説明します。
まず初めに、2つの前提があります。
① 経済主体は予算の制約のもとで効用を最大化するように消費量を決定する
② 効用が下がらない限りは、全ての予算を使い、最適量を決定する
経済主体は、効用を最大化する行動をし、消費量を最適化する前提です。
ワルラスは、完全競争の市場という経済の前提に基づいて、一方の市場において「超過需要」が生じているときは、もう一方において「超過供給」が必ず生じていると仮定しました。
各経済主体が上記の前提に基づいて、最適な行動をとると、一時的に発生した超過が解消されると考えました。
つまり、時間とともにその超過が解消され、最適な配分へと落ち着くというのがワルラスの法則です。
ワルラスはこの法則に基づいて、一般均衡理論を打ち立てました。
1−2 一般均衡理論
一般均衡理論とは、
完全競争下では、社会全体における財市場は最終的に均衡状態に至るという理論
です。
わかりやすくまとめると、
市場全体の需要と供給が一致する
ということです。
※本記事では概要を理解するため、具体的な数式を省いて簡略的に解説します。
ワルラスの一般均衡理論は2つの前提があります。
① 完全情報・完全競争
② 不確実性の排除
です。
これは、経済主体は財の取引量やタイミングなどの情報を完璧に把握しており、不確実なことも経済的分析によって理論を導くための仮定です。)
この場合、財の価格は市場で決まり、それに応じて、人的資本土地、資本財の販売量、財の購入量が決まります。
そして、需要も供給も財の価格に依存すると考え、財の数だけ需要方程式・供給方的式を導き出します。
それらの式から需給均衡の式を連立法的式で導き、均衡点を得るというアプローチを採用しました。
このように各財の需要・供給を方程式で表し、数学的に均衡を導く方法は、ワルラスの時代において画期的でした。
また、
需要>供給→価格上昇
需要<供給→価格下落
という法則によって、需要=供給となる価格を発見しました。
以上のように、
市場全体の需要と供給が一致する
という一般均衡理論を唱えました。
Part 2:影響:ローザンヌ学派・限界効用理論・ミクロ経済学
ワルラスは、経済学に多大な影響を及ぼしました。
① ローザンヌ学派
ワルラスは、ローザンヌアカデミーの初代教授でした。ローザンヌ学派はワルラスによって始まったとされており、「パレート最適」で有名なパレートなどに受け継がれました。
緻密な数学的手法を経済学に用いることが特徴です。
② 限界効用理論
ワルラスは、ジェボンズ・メンガーと同時期に限界効用理論を唱えた一人です。
労働価値説に基づいた古典派経済学から脱却し、効用価値説に基づき、「効用」が価値の源泉であるとした考えを基調とした理論を展開しました。
限界効用理論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。
Introduction:限界効用理論とは?
限界効用理論とは、
効用価値説を基調とし、限界効用によって経済的な望ましさが決定されるという経済学の理論
です。
限界効用理論は、経済学を学ぶ上で避けては通れない概念であり、非常に重[…]
③ ミクロ経済学
ワルラスが主張した一般均衡理論は、ミクロ経済学の中核的な考えになっています、
経済学に数学的分析を導入し、理論的に説明したワルラスは、シュンペーターによって「すべての経済学者の中で最も偉大」と評価されています。
Part 3:おすすめ本
もっとワルラス・一般均衡理論を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。
Part 4:まとめ
いかがでしたか?
ワルラスの法則・一般均衡理論をまとめると、
以上です。
Web大学 アカデミアは、他にも様々なジャンル・トピックを解説していますので、是非ご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。