マルクス【資本論】資本主義批判や労働力商品など、わかりやすく解説

Introduction:マルクスはどんな人?

カール・マルクス(Karl Marx)とは、

1818年〜1883年にドイツ・プロイセン王国で活躍し、共産主義を唱えた哲学者・経済学者

です。

マルクスは、マルクス主義マルクス経済学共産主義、社会主義といったイメージがあると思います。

経済学を学ぶ上で、マルクスの考え方を知っておくことは非常に有益です。

マルクスは資本主義批判を行い、共産主義を主張しましたが、その理由やプロセスを知ることこそ重要です。

本記事では、マルクスの資本論の内容を解説していきます。

マルクス【資本論】 要点
資本主義において、労働者は資本家に搾取されている
労働価値説:商品の価値の源泉は投下された労働量による
商品には使用価値と交換価値がある
自己増殖する貨幣=資本
労働力商品:生産手段を持たない労働者は労働力を売ることでしか貨幣を得られない
労働によって生み出された剰余価値は資本家に搾取される
賃金は再生産のために必要な費用=生活費に落ち着くため、貧困から脱却できない

Part 1:内容解説【資本論】

資本論は、資本主義の行き詰まりによって革命が起き、共産主義へと移行すると主張した書物です。

マルクスがどのようにして資本主義を批判し、共産主義へと移行するのかを述べたのでしょうか。

資本論を、①搾取 ②資本 ③労働力商品という3点から解説していきます。

1−1 搾取とは?

マルクスは、資本家が労働者の富を不当に搾取しているため、労働者が貧しいと主張しました。

資本主義が普及する以前は、封建制度に基づく社会でした。

封建制度とは、

君主の下に所属する諸侯が与えられた土地で人民を統治する制度

です。

封建制度 領主 農民 搾取

封建制度においては、農民が労働によって生産した生産物の多くを働いていない領主(地主)によって取り上げられていました

マルクスは、この封建制度において農民は領主によって搾取されていると指摘しました。

封建制度が崩壊し、資本主義が発達した社会において、資本家と労働者の関係においても搾取があるというのがマルクスの考えです。

労働者は自ら仕事を選んで働いているため、封建制の農民と違って、搾取されていないと考えられます。

ではなぜマルクスは、資本主義においても資本家による搾取が起きていると主張したのでしょうか?

それを理解するために、「資本」とは何か、について説明していきます。

1−2 資本とは? (1)商品 (2)貨幣 (3)資本

マルクスの言う「資本」を理解するために、①商品 ②貨幣 ③資本の順番で解説します。

1−2−1 商品

マルクスは、資本主義社会における富は全て「商品」として扱われるため、商品とは何か?、商品の価値の源泉は何か?という分析をする必要があると述べました。

マルクスは、商品の価値は投下された労働量によって決まるという「労働価値説」を受け継ぎました。

アダム・スミスなどで有名な古典派経済学は、労働価値説を基調とした経済学派です。

マルクスは、商品の価値を「使用価値」と「交換価値」に分類しました。

使用価値:商品価値を有用性(商品を使って役に立つこと)によって決定すること

交換価値:商品価値を交換(売買)によって得られる利益によって決定

このようにマルクスは、商品の価値を分類し、商品価値の源泉は労働であると考えました。

そのため、全ての労働は等価であると主張しました。

マルクスは商品の次に、商品と交換できる貨幣についての分析を行いました。

1−2−2 貨幣

マルクスは、貨幣が商品を得るための手段から、貨幣を得るための目的に変化したと主張しました。

貨幣が手段から目的に

貨幣は交換のための手段として用いられていたが、資本主義によって、貨幣それ自体を増やすことが目的になったということです。

このように、自分が増えること自体が目的であるかのように運動する貨幣のことを「自己増殖する貨幣」と呼びました。

そして、マルクスはこの「自己増殖する貨幣」のことを「資本」と定義づけました。

1−2−3 資本

マルクスは、貨幣は商品との交換を通して増殖していき、それこそが資本であると唱えました。

しかし、市場経済においては等価交換しか行われないはずだから、自己増殖するはずはないという矛盾点を提示しました。

貨幣価値と商品価値が同等の場合しか交換が成立しないため、貨幣の自己増殖はあり得ないということです。

しかし、資本主義における市場経済では、資本を産み続けなければならないため、矛盾に直面すると指摘しました。

また、貨幣によって商品の価値が決定するため、価値の源泉である労働力も貨幣に換算されると言いました。

これによって、あらゆるものが商品化され、人間も売り買いされる対象になるということです。

マルクスは、「労働力商品」という言葉を使って、資本家による搾取を明らかにしました。

1−3 労働力商品

労働力商品とは、

労働力を売買する商品として扱うこと

です。

つまり、労働者は自分の労働力を商品として売ることで貨幣を得るということです。

この場合、生産手段を持たない労働者は、自分の労働力を売ることでしか貨幣を得ることができません。

そして、労働によって生み出された剰余価値は資本家の利益になります。

先述したように、マルクスは市場経済では等価交換しか成立しないため、自己増殖するはずがないが、実際にはしているという矛盾を指摘しました。

実際に、資本家は費用に利潤を上乗せして商品を売っています。

この利潤は、労働者の労働力商品によって生み出され、貨幣が自己増殖していると言えます。

貨幣の自己増殖

マルクスは、労働者が自分で生産手段を持っていた場合、労働力商品によって得られた剰余価値を自分のものにできると主張しました。

つまり、労働者は資本家のように生産手段を持たないため、不当に搾取されているということです。

そして、搾取の前提として重要なのが賃金の話です。

マルクス曰く、労働者の賃金は、「再生産に必要な費用=生活費」に落ち着くため、いくら労働しても、貧困から抜け出すことができなくなります。

労働者が生産活動を通して、どれだけの生産を行ったかよりも、商品を再生産するための最低限の費用(=生活費)しか、賃金として支払われないため、労働者は搾取されていると言えるということです。

労働力の賃金

労働者が最低限の生活を営むことができる金額が5万円である場合、その労働を再生産するのに5万円必要ということになる。

労働者が10万円の価値を生み出していても、賃金は5万円しかもらえない。

労働者の賃金は、常に最低限の生活費に落ち着くため、貧困から抜け出せない。

労働者が生み出した剰余価値は全て資本家のものになり、生産手段を持たない労働者は搾取され続けるというのがマルクスの考えです。

Part 2:おすすめ書籍

もっと「マルクス」を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。

Part 3:まとめ

いかがでしたか?

「資本論」をまとめると、

マルクス【資本論】 まとめ
資本主義において、労働者は資本家に搾取されている
労働価値説:商品の価値の源泉は投下された労働量による
商品には使用価値と交換価値がある
自己増殖する貨幣=資本
労働力商品:生産手段を持たない労働者は労働力を売ることでしか貨幣を得られない
労働によって生み出された剰余価値は資本家に搾取される
賃金は再生産のために必要な費用=生活費に落ち着くため、貧困から脱却できない

以上です。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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