カール・マルクス(Karl Marx)とは、
です。
マルクスは、マルクス主義やマルクス経済学、共産主義、社会主義といったイメージがあると思います。
マルクスといえば「資本論」が有名ですが、それを執筆する前段階として、「疎外された労働」という概念を「経済学・哲学草稿」の中で分析しました。
マルクスの資本論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。
本記事では、マルクスの疎外論の内容を解説していきます。
Part 1:【疎外論】 内容解説
1−1 マルクスの労働観
マルクスは、「労働は本来楽しいものである」という労働観を示しました。
そして、労働が楽しい理由として労働の4つの喜びを主張しました。
労働の喜び
① 自己実現の喜び:人間は労働・生産活動を通して、自身の個性や独自性を発揮していくのであり、自己実現をしていくことができる
② 他人の要求に応えた喜び:労働を通じて、他人の欲求を満足させることは喜ばしい
③ 他人の自己実現に、自分が不可欠である喜び:自身の労働が他人の自己実現に貢献できている喜び
④ ひとのつながりのなかで生きる 人間の姿を知った喜び:労働を通じた人間関係の中で、人間の本質を発見することができる喜び
マルクスは、労働をすることで以上の4つの喜びを得ることができると言いました。
これは、アダム・スミスの「労働は労苦と骨折り」という考えと正反対でした。
マルクスは、資本主義のもとでは労働が楽しくなくなるという危機感を感じ、「労働疎外」を主張しました。
1−2 労働疎外
労働疎外とは、
です。
資本主義において、自己実現が労働の外で行われるため、4つの喜びが失われます。
労働疎外が起きる理由として、マルクスは①「商品」生産 ②資本主義的手工業 ③資本主義的機械工業という3点を挙げました。
1−2−1 「商品」生産
マルクスは資本主義において、あらゆるものが商品化されると言いました。
人間の労働も商品化され、売り買いする対象になります。
そうすると、人と人との関係が商品と商品との関係のように変化すると危惧しました。
資本主義以前では、人と人とのつながりの中で労働をし、自己実現や他人の要求に応える喜びを見出していました。
しかし、資本主義によって人間関係までもが商品化し、労働の喜びが喪失するというのが労働疎外の理由の一つです。
1−2−2 資本主義的手工場
手工業がメインで行われていた資本主義時代では、労働者が生産手段を持たないため、労働の成果が自分のものにならないことをマルクスは指摘しました。
労働者による生産活動で生み出された成果は生産手段を所有する資本家によって奪われるため、労働者は労働を楽しむことができません。
また、資本主義では分業による効率化で、各人が同じ作業を専門的に行います。
分業の普及で毎日同じ作業をすることになった労働は楽しいはずがなく、労働の喜びを奪っているということです。
分業による効率化を提案したアダム・スミスも、この弊害を認識していました。
スミスは、分業は効率的であるが「人間の尊厳」を奪ってしまうと言いました。
しかし、それは教育によって解消可能であるというマルクスとは違う立場を取りました。
アダム・スミスについてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。
1−2−3 資本主義的機械工場
マルクスによると、機械がメインとなった資本主義においては、人間が機械の付属物として扱われることが懸念されます。
商品化される労働者は、機械の導入によって機械の一部として作用するようになるということです。
機械の付属品と化した労働者は自己実現や他人への貢献による喜びを得られていた労働をすることが不可能になります。
マルクスは以上のような理由から、資本主義における労働は楽しくなくなり、喜びがなくなってしまうと主張しました。
Part 2:おすすめ書籍
もっとマルクス・「疎外論」を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。
Part 3:まとめ
いかがでしたか?
「疎外論」をまとめると、
以上です。
Web大学 アカデミアは、他にも様々なジャンル・トピックを解説していますので、是非ご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。