ジェヴォンズ 【経済学理論】 無差別の法則や限界効用逓減など、わかりやすく解説

Introduction:ジェボンズはどんな人?

ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ(William Stanley Jevons)とは、

1835年〜1882年にイギリスで活躍し、限界効用理論を唱えた新古典派経済学者

です。

ジェボンズは、メンガーワルラスらとともに「限界効用理論」を同時期に唱えた新古典派の経済学者です。

著書である「経済学理論」の中で、効用価値説に基づいた経済理論を展開しました。

本記事では、「経済学理論」の内容を解説してきます。

Part 1 内容解説:『経済学理論』

「経済学の理論」は、

について述べられた書物です。

目次

序文

第1章 導入

第2章 快楽理論

第3章 効用理論

第4章 交換理論

第5章 労働理論

第6章 地代理論

第7章 資本理論

第8章 結論

という全8章から構成されています。

【経済学原理】 要点

・経済学をEconomicsと翻訳

・経済学に数学を使用

・功利主義:感情のレベルを主張

・限界効用逓減:追加的に得られる効用は減少

・無差別の法則:同質の財は同じ価値を持つ

本記事では、この中から重要な4つのポイントをピックアップして解説いていきます。

目次:① 経済学と数学 ② 経済学と功利主義 ③ 限界効用逓減 ④ 無差別の法則

1−1 経済学と数学

ジェボンズは、著書である「経済学の理論」の第二編で、経済学にEconomics(エコノミクス)という言葉を採用した人物です。

今では経済学=Economicsは当たり前ですが、当時はPolitical Economy(ポリティカルエコノミー)と呼ばれていました。

またジェボンズは、経済学に数学を導入した一人です。

彼は、経済学が科学的であるためには数学的出なくてはならないと主張し、経済学における数学的分析を導入しました。

このようにジェボンズは、経済学における画期的な貢献をしました。

経済学=Economics を採用

経済学に数学を使用

1−2 経済学と功利主義

ジェボンズは功利主義的な考えに共感しましたが、多少の違いも主張しました。

功利主義とは、

制度や行為の社会的な望ましさは、それによって生じる功利(効用)によって決まるというという考え方

です。

ベンサムの唱えた功利主義についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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ベンサム 功利主義

ジェボンズが考えた功利主義の違いは、人間の感情には様々な等級(レベル)があるということです。

ベンサムは、快楽計算に基づいて効用の総和による善悪の判断を行いました

それに対してジェボンズは、快楽や苦痛を受けることによる感情にもレベルがあるため、そこを無視してはならないと考えました。

例えば、上司からの説教などが挙げられます。

説教を苦痛と捉える人もいれば、自分のために叱ってくれると考え、成長のチャンスであると捉える人もいます。

一見苦痛に見えることでも、感情の等級(レベル)によって快楽や苦痛は変化するということです。

経済学では、その中でも最下級の感情を扱う学問であると考えました。

経済学は本能に従って生きる経済人を仮定しています。

つまり、利己的で合理的な個人を仮定しているので、最下級の感情であると唱えました。

 

ちなみに、ベンサムの弟子であるJ・Sミルは、快楽には質の差があると唱えました。

J・Sミルの唱えた功利主義論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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JSミル 功利主義論

1−3 限界効用逓減

先述したようにジェボンズは、限界効用理論を唱えた一人です。

「経済学の理論」の中で、“限界効用逓減”という重要な考えを展開しました。

限界効用逓減とは、

財の消費量が増えるにつれて、追加的に得られる効用は徐々に小さくなるという考え

です。

わかりやすく、コーラで例えると、

コーラ1杯目から得られる効用>2杯目の効用>3杯目の効用(続く)

ということです。

同じものを消費し続けると、その財から得られる効用の増加分は徐々に減るということです。

グラフで表すと、

消費量を増やすにつれて、得られる効用は徐々に減少していますね。

このようにジェボンズは、限界効用逓減の考えを展開しました。

限界効用理論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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限界効用理論 メンガー ジェボンズ ワルラス

1−4 無差別の法則(一物一価の法則)

無差別の法則とは、

完全競争の市場において、同一市場の同一時点における同一商品は、同一の価値を持つという考え

です。

つまり、同じ商品は場所によって価値が変わったりはしないということです。

この考えは、

① 完全競争・完全情報

② 交換は経済全体で行われる(全員感知)

③ 財は分割可能

という3つを前提としています。

これは、どの店にどの商品がいくらで売られているのかといった情報を、全員が知っているため、商品の価値が同一になります。

全員が完全に情報を知っているため、あるお店の値段が高いと買われなくなります。

反対に、あるお店が値下げをすると、他店も同様の水準まで下がります。

こうすることで、自然と価値が同一になります。

このようにジェボンズは、無差別の法則(一物一価の法則)を唱えました。

Part 2:おすすめ本

もっと経済学史を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。

Part 3:まとめ

いかがでしたか?

ジェボンズ・「経済学の理論」をまとめると、

【経済学原理】 要点

・経済学をEconomicsと翻訳

・経済学に数学を使用

・功利主義:感情のレベルを主張

・限界効用逓減:追加的に得られる効用は減少

・無差別の法則:同質の財は同じ価値を持つ

以上です。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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