フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエク(Friedrich August von Hayek)とは、
です。
ハイエクは20世紀を代表する自由主義の経済学者で、オーストリア学派でした。
ノーベル経済学賞も受賞しており、経済学に重要な貢献をしました。
主な著書としては、「隷属への道」や「貨幣発行自由化論」などがあります。
本記事では、「市場・知識・自由:自由主義の経済思想」の内容を解説してきます。
Part 1:内容解説「市場・知識・自由:自由主義の経済思想」
「市場・知識・自由:自由主義の経済思想」は、個人主義や競争の意味、社会主義への態度などについて書かれています。
本書を、①社会主義計算論争 ②自生的秩序という2点から解説していきます。
1−1 社会主義計算論争
社会主義計算論争とは、
です。
ハイエクは、①計画経済の非効率性 ②市場の効率性という2点から、社会主義は機能しないと主張しました。
1−1−1 計画経済の非効率性
ハイエクは社会主義が機能しない理由として、計画経済の非効率性を指摘しました。
計画経済は、中央政府が価格や生産量をコントロールして経済を回そうとする方法です。
計画経済が非効率な理由として、社会に分散する知識を効率的に利用できないという点を挙げました。
ハイエクは、計画経済では、土地に応じた効率的な生産物や状況の変化に応じた調整などに対処することができないと指摘しました。
事前に決められた計画的な生産では、突発的な変化に対応できず、経済が円滑に回らないということです。
例えば、自然災害が起きた場合、事前に決められた生産量を達成できない場合があります。
そうすると、全てが計画された経済では、他の産業などまでもが影響を受けることで経済が立ち行かなくなってしまいます。
1−1−2 市場の効率性
ハイエクは計画経済への批判と同時に、市場の効率性について述べました。
市場が計画経済よりも優れている理由として、「分権的意思決定」という特徴を挙げました。
分権的意思決定は、計画経済のように中央政府が全て決定する方法とは反対に、個人による意思決定という意味です。
市場では、自分が知っている情報を元に個人が利益最大化原理に従って行動します。
計画経済では把握・管理しきれない情報も、個人が知っている情報内で行動するため、計画経済よりも優れていると主張しました。
また、市場の価格メカニズムによって適切な価格に設定されるため、計画経済よりも柔軟に変化に対応できます。
例を挙げると、
市場原理に従えば、豊作によって農作物が多く取れた場合、供給が多くなり、価格が下がります。
反対に計画経済では、豊作でも凶作でも変化に耐えることができないため、市場は計画経済よりも優れているということになります。
またハイエクは、市場は人類が意図的に作り出したわけではなく、自生的秩序のひとつであると述べました。
1−2 自生的秩序
自生的秩序とは、
です。
ハイエクは、自生的秩序として①個人主義 ②伝統・慣習をあげました。
1−2−1 個人主義
ハイエクは、個人主義は自生的秩序であるものとそうでないものとに分類しました。
それは、イギリス的伝統の個人主義とフランス的伝統の個人主義です。
イギリス的伝統の個人主義は、理性への懐疑を基調とし、予期せざる結果としての個人主義のため、自生的秩序に分類されました。
反対にフランス的伝統の個人主義は、理性への信頼を基調とし、デカルト的な考えから合理的に設計された秩序であるため、自生的秩序ではないと言われました。
そのため、イギリス的伝統こそ真の個人主義であり、フランス的伝統は、偽の個人主義であると言われました。
イギリス的伝統の個人主義:予期せざる結果の真の個人主義
フランス的伝統の個人主義:合理的に設計された偽の個人主義
1−2−2 伝統・慣習と「自由」
伝統・慣習と「自由」も、自生的秩序であると言われました。
伝統・慣習が発達すると、一定の行動パターンが読めるため、人々の行動が予測しやすくなります。
これによって、強制力を働かせる必要がなくなり、「自由」な社会の実現につながります。
自由な社会では、多様で少数の意見を受け入れる風潮ができるため、「少数意見」を尊重する民主主義が発達すると予測されました。
強制力を弱めることは、個人主義の尊重にもつながります。
これは、個人が自分の好き勝手に行動するというものではなく、自由が制限されないという意味です。
このようにハイエクは、自生的秩序という偉大なシステムによて支えられていると考えました。
Part 2:おすすめ本
もっとハイエク・「市場・知識・自由:自由主義の経済思想」を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。
Part 3:まとめ
いかがでしたか?
「市場・知識・自由:自由主義の経済思想」をまとめると、
以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました。