マックスウェーバー(Max Weber)とは、
です。
ウェーバーは、「職業としての学問」や「職業としての政治」を著したことで有名です。
ウェーバーは経済学を含む社会科学を研究した人物で、その思想は今なお影響力を持っています。
「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」は、国際社会学会選んだ「20世紀の名著 トップ10」で第4位にランクインしています。
本記事では、マックスウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を解説していきます。
Part 1:内容解説【プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神】
「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を①ウェーバーの問題関心 ②伝統主義 ③カルヴィニズムの予定説 ④資本主義の精神という4点から解説していきます。
1−1 ウェーバーの問題関心
ウェーバーは、資本主義の根本原理が「利益追求」であるのにもかかわらず、その出発点である中世ヨーロッパのキリスト教では利益追求が否定されていたという矛盾に問題関心を寄せました。
中世のキリスト教では、商売における高額の利子の禁止といった倫理的な規制を設けていました。
特に、禁欲を善とするプロテスタンティズムにおいては、暴利を禁止していました。
これは、このような必要以上の利益追求を認めないキリスト教世界が、利益追求を原則とする資本主義を生み出したという矛盾であると言えます。
ウェーバーは、このような利益追求を悪とする禁欲的なプロテスタンティズムの倫理が、資本主義を生み出すことになったメカニズムを解明しようと試みました。
1−2 伝統主義
では資本主義が発達する以前の伝統主義的な思想・行動様式はどのようなものだったのでしょうか。
中世のヨーロッパでは、商人による共同体内の経済取引は禁止されていました。
しかし、共同体外に対しては高利貸しなどが許されていました。
このような制約によって取引が成立せず、市場が発達することがありませんでした。
また労働者は、富を増やすためではなく、現状の生活水準を維持するために働いていました。
賃金や労働生産性が上昇すると、より短い時間で今まで稼げていた水準まで達することになります。
資本主義においては、労働時間を変えることなく、より多くの富を蓄積する様になります。
しかし伝統主義では、今までの生活水準を維持できればいいので、労働時間を減らすようになります。
このように、伝統主義における商人や労働者は、資本主義とは異なる精神性を持っていました。
では、このような伝統主義的な精神・行動様式がどのように変化していったのでしょうか。
それは、プロテスタンティズムの禁欲主義が影響しています。
1−3 カルヴィニズムの予定説
禁欲的プロテスタンティズムの教義に基づくカルヴィニズムは、予定説を信仰していました。
プロテスタントは、ルターを中心とした宗教改革によって、ローマ・カトリック教会から離脱した勢力で、聖書の教えをより純粋に信仰することを特徴としています。
カルヴィニズムは、プロテスタントの分派の一つで、他にはルター派などがあります。
予定説とは、
です。
カルヴァン派の信徒は、自分が神に救済される対象である確信を掴むために、神に与えられた「天職」に励むことを求められました。
ルターが翻訳した聖書によると、世俗的な職業に宗教的な価値を付随させ、Berufと呼びました。
これは、職業に宗教的な使命を合わせたもので、職業は神から与えられた「天職」であると言う考え方でした。
そのため、神から与えられた天職に真面目に励むことで神から救われる確信を得ようとしていました。
1−4 資本主義の精神
ウェーバーは、カルヴィニズムによる意図せざる結果として、資本主義の発達が起こったと考えました。
ウェーバーは、カルヴィニズムがもたらした資本主義の精神の特徴を2つ挙げました。
1つ目の特徴は、禁欲的職業労働です。
先述したように、カルヴィニズムの信徒は神に救われる確信を得るため、労働に励みました。
勤勉でなかったり、労働に対する意欲がないというのは救われていない証拠であるということになります。
堕落や娯楽といった時間の浪費は罪であるという意識が常識となりました。
生活水準を維持するために労働していた伝統主義的な労働者は、カルヴィニズムによって勤勉な労働者へと変化しました。
資本主義下では、労働自体に価値を見出すとともに、賃金・労働生産性の上昇が起きても労働時間を減らすことはなくなりました。
このように、ストイックに仕事に没頭するような精神・行動様式が浸透しました。
2つ目の特徴は、利益・富の追求です。
ここで、資本主義の根本原理である利益追求が登場します。
これは、個人の娯楽や豊かな暮らしのための利益追求ではありません。
あくまで、売り上げた収益を再投資することで生産性を向上したり、設備を充実させることが目的でなければなりません。
先述したように、中世のヨーロッパでは高利貸しが禁止されていたり、暴利が取り締まられていました。
しかし、神に救われるための勤勉な労働のために利益追求は、救われるための正しい行為として認識されるようになりました。
その収益を労働に投資することで、より効率的な労働が可能になり、神に救われるという確信を深めることができました。
資本主義の精神の浸透によって、伝統主義的な考えは淘汰されていきました。
ウェーバーはこのようにして、資本主義の精神とプロテスタンティズムの倫理の関係性を解明しました。
Part 2:おすすめの書籍
もっとウェーバー・「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。
Part 3:まとめ
いかがでしたか?
「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」をまとめると、
以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました。