イマニュエル・ウォーラーステイン(Immanuel Wallerstein)とは、
です。
世界システム論は、A・G・フランクの「従属理論」と並んで、経済・国際関係を学ぶ上で重要な理論です。
A・G・フランクの【従属理論】についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。
本記事では、イマニュエル・ウォーラーステインの【世界システム論】の内容を解説していきます。
Part 1:内容解説【世界システム論】
世界システム論(World System Theory)とは、
です。
世界システム論は、中核地域による半周辺・周辺地域の搾取を主張しました。
世界システム論を①世界システム ②三層構造 ③資本主義世界システムの展開という3点から解説していきます。
1−1 世界システム(世界帝国と世界経済)
ウォーラーステインは、世界システムを世界帝国と世界経済に分類して説明しました。
世界帝国:政治的に統合され、共通の政治システムを持つ
世界経済:政治的に統合されておらず、共通の政治システムを持たない
中国やエジプト、ローマのような世界帝国は政治的システムが確立しており、安定した構造であるということです。
しかし、世界経済は政治的に統治されているわけではないので、不安定な構造であるということです。
そして、世界システムにおいて地域によって分業されており、これは16世紀に登場した資本主義の分業システムと共通点があります。
世界交易は各地域が平等に参加しているわけではなく、地域によって偏りがあり、これが三層構造という形で現れています。
1−2 三層構造と搾取
三層構造とは、
です。
中核地域(Core area):分業体制を利用して、余剰価値の大半を得る。製造業や第三次産業がメイン。
周辺地域:(peripheral area):鉄鋼業や農業といった第一次産業に集中。強制労働が存在。
半周辺地域(semi-peripheral area):中核と周辺の間
ウォーラーステインは、中核地域が半周辺・周辺地域を搾取していると主張しました。
中核地域と半周辺・周辺地域の交易においては不平等な交換が行われており、剰余価値が搾取されているということです。
周辺地域が生産した第一次産品を不等価交換によって中核国が搾取し、周辺国の経済発展を阻害しています。
1−3 資本主義世界システムの展開
資本主義システムの展開は3つの時期に分類され、時代によって中核や周辺地域は変わります。
① 1450年〜1640年:長期の16世紀
中核地域:北西ヨーロッパの国々
半周辺地域:スペイン、北イタリア都市国家
周辺地域:北東ヨーロッパ、アルゼンチン
② 1650年〜1730年:不況
この時期には、中核地域内でイングランドがオランダを商業的覇権から追い落とし、フランスを抑え込みました。
③ 18世紀〜:世界システムが世界に広がる
中核地域:イギリス
半周辺地域:ロシア 、ドイツ、アメリカ、
周辺地域:日本 ラテンアメリカ、アジア、アフリカ
産業革命を通じて大量生産を可能にしたイギリスは、世界経済の中心となり、世界の工場と呼ばれるまでに発展しました。
こうして中核となったイギリスは、周辺地域を植民地などによって搾取を行いました。
搾取によって経済発展を阻害された周辺国は貧しくなり、格差は拡大する一方でした。
Part 2:おすすめ書籍
もっと【世界システム論】を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。
Part 3:まとめ
いかがでしたか?
【世界システム論】をまとめると、
以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました。