ジョン・K・ガルブレイス【大暴落1929】大恐慌の原因や悪化の要因など、わかりやすく解説

Introduction:ガルブレイスはどんな人?

ジョン・ケネス・ガルブレイスJohn Kenneth Galbraith)とは、

1908年〜2006年に活躍した制度は経済学者で、ハーバード大学の名誉教授

です。

ガルブレイスは「経済学の巨人」とも言われた大経済学者です。

本記事では、ガルブレイスの「大暴落1929」を解説していきます。

ガルブレイス【大暴落1929】 要点
・投機ブームが大恐慌を引き起こす
 ・株で儲けることに憧れた一般市民が投資を始める
 ・投資信託で一般市民が投資にアクセスしやすくなった
・大恐慌が悪化した要因
 ・経済格差:富裕層に依存する経済では、富裕層の消費と投資の減少で経済が落ち込む
 ・銀行システム:預金の引き出しができなくなる恐怖から市民が銀行に殺到し、続々と凍結
 ・経済専門家:不況下における適切な経済政策を提案する知識が不足
 ・国際収支:輸出を減らしたことによって、国内経済が悪化
 ・企業構造:投資よりも配当を優先した企業が、株価の下落によって経営不振に

Part 1:内容解説 【大暴落1929】

大暴落1929はタイトルの通り、1929年に起きた世界恐慌について書かれたものです。

「大暴落1929」を①投機ブームから大暴落へ ②大恐慌悪化の要因という2点から解説していきます。

1−1 投機ブームから大暴落へ

当時の経済の特徴としてあげられるのが株価の上昇です。

1918年に第一次世界大戦が終戦し、戦後の復興によって経済が徐々に安定・発展していました。

企業の利益増や工業生産高の上昇など、様々な経済的な指標は大幅に上昇しました。

しかし、その上昇がある程度まで続くと、実態のなき株式市場の成長が起き始めました。

これは、日本も経験したバブル時代と似ている現象です。

戦後の経済成長によって裏付けのない成長した株式市場が、加熱してしまうということです。

ガルブレイスは、このような投機ブームが起きた原因を大きく2点から指摘しました。

1点目は、株で大儲けする人々に憧れた一般市民が、自分たちもお金持ちになるべく投機に走ったことであるということです。

戦後の経済成長という特別な状況下において、株で大儲けをした人々が多く、それを目の当たりにした一般市民は、一攫千金を夢に見ました。

戦後に上昇した株価は、いつまでも上昇し続けるということを信じることで、投機ブームが起きました。

2点目は、投資信託というシステムです。

投資信託は、

投資家から集めた資金を資産運用の専門家が運用し、その成果を投資家に還元する制度

です。

簡単に言い換えると、専門家に投資先を決めてもらう制度ということです。

投資信託を利用すれば、投資や資産運用の専門知識がなくても、専門家に任せることで利益を期待できるため、一般市民とっても利用しやすくなります

以上のような原因から起きた投機ブームは、1929年10月24日(ブラックチューズデー)に株価が大暴落することで終わりを迎えました。

実態の伴わない過剰な成長によって膨れ上がった株式市場が、破裂することで大不況をもたらしました。

アメリカは、1932年までにGDPが15%減少するなど、大きな経済的打撃となりました。

大恐慌は世界中に波及し、世界的な経済不況に陥りました。

この対策として、アメリカのニューディール政策やヨーロッパのブロック経済などの対策が取られました。

1−2 大暴落悪化の要因

ガルブレイスは、大恐慌が必要以上に悪化したと考えました。

その原因を①経済格差 ②銀行システム ③経済専門家 ④国際収支 ⑤企業構造という5つに分けました。

1つ目に、経済格差です。

当時は、アメリカ国内における経済格差が著しく、数%の富裕層が多くの富を独占している状況でした。

このような状況では、富裕層の投資や消費が落ち込むと、経済全体が落ち込むというような依存体制になっていました。

大恐慌の発生後は、富裕層の投資は支出が大きく落ち込んだため、経済の立て直しが困難になるなど、大恐慌を悪化させる一因となりました。

2つ目に、銀行のシステムです。

大不況で1つの銀行が潰れると、預金を失う恐怖に駆られて多くの市民が預金の引き出しに殺到しました。

多くの人が同時に引き出しに殺到すると、銀行の現金が不足し、銀行が凍結してしまいます。

それによって多くの銀行が一気に凍結することになり、消費や投資のための資金が不足する事態となりました。

このような事態に対処するような銀行システムが存在していなかったため、パニックが起こったと、ガルブレイスは指摘します。

3つ目に、政府の経済専門家です。

政府の政策決定において、経済の専門家の知識や意見が大きく影響します。

ガルブレイスは、当時の経済の専門家が、不況に対処できるだけの経済的な知識や政策の立案ができる能力がなかったと批判しています。

経済が安定している状況で用いられる財政均衡の維持といった政策は、不況時においては不適切であるにもかかわらず、それを維持し続けたため、大恐慌が悪化したということです。

財政均衡を守ろうとするあまり、失業や雇用のための政府支出を増加させることができないため、不況を脱却することが難しくなります。

4点目に、国際収支です。

第一次世界大戦後、ヨーロッパは、アメリカに莫大な債務や貿易赤字を抱えていました。

ヨーロッパはその支払いを金でしていたため、アメリカは輸入の増加・輸出の減少によって国際収支の均衡をとっていました。

輸出の減少は、国内経済にとってはマイナスであるため、大恐慌を悪化させる一因となりました。

5点目に、企業構造です。

戦後に、投資信託や持株会社といったスタイルによって成長した企業が多くありました。

しかし、このような持株会社は、経営不振を悟られないために投資よりも配当を優先しました。

それによって、株価の下落とともに、多くの会社が倒産・経営不振を経験することになりました。

以上のような5つの要因が、大恐慌を悪化させました。

Part 2:おすすめの書籍

もっとガルブレイス、「大暴落1929」を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。

Part 3:まとめ

いかがでしたか?

「大暴落1929」をまとめると、

ガルブレイス【大暴落1929】 要点
・投機ブームが大恐慌を引き起こす
 ・株で儲けることに憧れた一般市民が投資を始める
 ・投資信託で一般市民が投資にアクセスしやすくなった
・大恐慌が悪化した要因
 ・経済格差:富裕層に依存する経済では、富裕層の消費と投資の減少で経済が落ち込む
 ・銀行システム:預金の引き出しができなくなる恐怖から市民が銀行に殺到し、続々と凍結
 ・経済専門家:不況下における適切な経済政策を提案する知識が不足
 ・国際収支:輸出を減らしたことによって、国内経済が悪化
 ・企業構造:投資よりも配当を優先した企業が、株価の下落によって経営不振に

以上です。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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