アマルティアセン(Amartya Sen)は、
です。
センは、ベンガル飢饉を経験したことで、貧困や福祉といった問題を扱う経済学を学ようになりました。
そして、貧困や飢饉のメカニズムや原因を経済学から解明しようとし、「貧困と飢饉」を著しました。
本記事では、センの「貧困と飢饉」を解説していきます。
Part 1:内容解説【貧困と飢饉】
「貧困と飢饉」は、飢饉の原因を経済学的に分析したものです。
「貧困と飢饉」を①食糧供給量 ②食糧へのアクセスという2点から解説していきます。
1−1 飢饉の原因は、食糧供給量の不足とは限らない
一般的に飢饉は、異常気象といった悪天候によって凶作になり、食料が不足することで起こると考えられています。
しかしセンは、飢饉は食料供給量が不足していることが原因とは限らないと考えました。
実際に、食糧供給がそれほど落ち込んでいなくてもアジアやアフリカの一部では飢饉が起きていました。
その例として、1943年に起きたベンガル飢饉が挙げられました。
ベンガル飢饉では、その年に穀物供給量の減少は見られませんでした。
ではなぜ十分な穀物供給があったのにもかかわらず、飢饉が起きたのでしょうか。
1−2 食糧を手に入れられない人々
センは、飢饉の原因は食糧供給が不足しているのではなく、人々が食料を入手することができないからだと主張しました。
これは、絶対的な食料供給量があるのにもかかわらず、それにアクセスできない状況があるということです。
センは、飢饉に苦しむ人々が食料を手に入れることができない理由を交換権原という言葉で説明しました。
交換権原(exchange entitlement)とは、
です。
交換権原は、賦存量と交換権原写像によって決定されます。
⭐️ 賦存量:最初に所有している財の総量
例)悪天候による凶作や怪我で働けなくなることによって収穫が減少する→飢饉
⭐️ 交換権原写像:所有物からどのような財の組み合わせが入手可能かを決定する関数
例)食糧の価格が上昇→飢饉
このような、交換権原(賦存量&交換権原写像)の不利な変化によって、飢饉に陥る危険性が高まります。
ベンガル飢饉では、食糧の価格が高騰したこと(交換権原写像)で多くの人が飢えました。
先述したように、ベンガル飢饉では食糧供給量に変化はなかったので、賦存量の変化による飢饉ではなく、交換権原写像による飢饉であるといえます。
当時のインドでは、現代の先進国のような社会保障制度やセーフティネットが整備されていなかったため、政府は飢えに苦しむ人を救うことができませんでした。
センは、市場に任せて食糧の価格を決定すれば、貧困層が飢饉に苦しむことになることを指摘し、民主主義を整備することで弱者を守る必要があると結論づけました。
以上のようにセンは、飢饉の原因を交換権原の賦存量と交換権原写像という2つに分類し、飢饉のメカニズムを解明しました。
Part 2:おすすめの書籍
もっと「貧困と飢饉」やセンを学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。
Part 3:まとめ
いかがでしたか?
「貧困と飢饉」をまとめると、
以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました。