【古典派経済学・新古典派経済学】主要な経済学者や経済思想などわかりやすく解説

Introduction:古典派経済学・新古典派経済学とは?

定義

古典派経済学:労働価値説に基づいた経済学の総称

新古典派経済学:ケンブリッジ学派のマーシャルの経済学やオーストリア学派、ローザンヌ学派を指す経済学派

古典派経済学・新古典派経済学は、経済学の基礎を築いた伝統的な経済学派です。

本記事では、古典派経済学と新古典派経済学の展開を主要な経済学者に沿って解説していきます。

【古典派経済学・新古典派経済学】 要点
・古典派経済学:労働価値説に基づいた経済学の総称
 ・アダムスミス:国富論・道徳感情論
 ・マルサス:人口論
 ・リカード:比較生産費説
 ・ベンサム:功利主義
 ・J・S・ミル:自由論・功利主義論・経済学原理

 ・セイ:セイの法則

・新古典派経済学:ケンブリッジ学派のマーシャルの経済学やオーストリア学派、ローザンヌ学派を指す経済学派

 ・マーシャル:経済学原理
 ・メンガー:限界効用理論
 ・ジェボンズ:経済学理論

 ・ワルラス:一般均衡理論・ワルラスの法則

Part 1:古典派経済学

古典派経済学を①アダムスミス ②マルサス ③リカード ④ベンサム ⑤J・S・ミル ⑥セイという6人の経済学者から解説していきます。

1−1 アダム・スミス

アダムスミス

アダム・スミス(Adam Smith)とは、

1723年〜1790年に活躍した、イギリスの哲学者・倫理学者・経済学者

です。

アダムスミスは古典派経済学の父と言われており、一番有名な経済学者と言えます。

アダムスミスの一番有名な著作は「国富論」です。

国富論は、国はどうやって豊かになるかという問いに対して、自由放任主義に基づいて、分業や資本形成・資本投下によって国は豊かになると唱えました。

国富論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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アダムスミス 国富論

また、スミスの有名な著作として「道徳感情論」が挙げられます。

道徳感情論は、理性に頼らずに、法・社会秩序が形成されていく過程を分析し、道徳の一般規則をどのように感情から導くかを書いた著作です。

道徳感情論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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アダムスミス 道徳感情論

古典派経済学の父と呼ばれたスミスは、労働価値説を唱えました。

労働価値説とは、

労働が価値を生み出すものであり、分業などによって生産性を高めることにより富を増やすことができるという考え

です。

アダム・スミスについてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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アダムスミス

1―2 マルサス

マルサス

トマス・ロバート・マルサス(Thomas Robert Malthus)とは、

1766年〜1834年にイングランド出身で活躍した古典派経済学を代表する経済学者

です。

マルサスの有名な著作として「人口論」が挙げられます。

人口論は人口増加によって貧困が悪化するプロセスを解明した書物です。

人口と生活資源の増加速度は人口増加速度の方が早いため、人々の生活は常に生活水準になるという「マルサスの罠」を提唱しました。

そして、予防的制限としての人口抑制や積極的制限としての人口減少などの理論を用いて、貧困解消の方法を提示しました。

マルサスの「人口論」についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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マルサス 人口論

1−3 リカード

リカード

デヴィッド・リカード(David Ricardo)とは、

1772年〜1823年に活躍し、自由貿易主義を主張したイギリスの古典派経済学者

です。

リカードの有名な著作として、「経済学及び課税の原理」が挙げられます。

リカードはその中で「比較生産費説」を唱えました。

比較生産費説とは、

各国が比較優位に基づく商品を重点的に輸出することで、各々の経済厚生が高まるという考え

です。

リカードの比較生産費説についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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リカード 比較生産費説

1−4 ベンサム

ベンサム

ジェレミ・ベンサム(Jeremy Bentham)とは、

1748年〜1832年にイギリスで活躍し、功利主義を唱えた哲学者・経済学者・法学者

です。

ベンサムは、「道徳および立法の諸原理序説」の中で功利主義を唱えました。

功利主義(Utilitarianism)とは、

制度や行為の社会的な望ましさは、それによって生じる功利(効用)によって決まるという考え方

です。

ベンサムの功利主義についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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ベンサム 功利主義

1−5 J・S・ミル

J・S・ミル

ジョン・スチュワート・ミル(John Stuart Mill)とは、

1806年〜1873年にイギリスで活躍した、政治哲学者、哲学者、古典派経済学者

です。

ミルの一番有名な著作として「自由論」が挙げられます。

「自由論」は題名の通り、ミルが考える自由について述べたものです。

「自由論」についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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JSミル 自由論

また、ミルはベンサムと同様に功利主義を唱えました。

ミルとベンサムの違いは、快楽の質の差を考慮した点です。

ミルの「功利主義論」についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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JSミル 功利主義論

また、ミルの経済学の著作である「経済学原理」があります。

経済学の原理について述べた著書であり、古典派経済学に貢献しています。

「経済学原理」についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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JSミル 経済学原理

1−6 セイ

セイ

ジャン=バティスト・セイ(Jean-Baptiste Say)とは、

1767年〜1832年にフランスで活躍し、「セイの法則」を発見した古典派経済学者

です。

セイは「セイの法則」で有名な古典派の経済学者です。

セイの法則とは、

貨幣市場以外の市場では、常に総需要と総供給が一致するという法則

です。

セイの法則についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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セイ セイの法則

Part2:新古典派経済学

新古典派経済学を①マーシャル ②メンガー ③ジェボンズ ④ワルラスという4人の経済学者から解説していきます。

2−1 マーシャル

アルフレッドマーシャル

アルフレッド・マーシャル(Alfred Marshall)とは、

1842年〜1924年にイギリスで活躍した、ケンブリッジ学派の経済学者

です。

マーシャルは「経済学原理」を著し、新古典派経済学の基礎を築いた経済学者です。

マーシャルの経済学が、新古典派経済学の中心となります。

マーシャルは、ピグーやケインズにも影響を与えた大経済学者です。

「経済学原理」についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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マーシャル 経済学原理

2−2 メンガー

メンガー

カール・メンガー(Carl Menger)とは、

1840年〜1921年にオーストリアで活躍した、近代経済学の創始者の一人

です。

メンガーは、ジェボンズ・ワルラスらとともに「限界効用理論」を同時期に唱えた新古典派の経済学者です。

限界効用理論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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限界効用理論 メンガー ジェボンズ ワルラス

メンガーは『国民経済学原理』の中で効用価値説を唱えました。

効用価値説は、

財の価値は、各人が主観に基づいて判断する効用によって決まるという経済理論

です。

メンガーについてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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メンガー 効用価値説

2―3 ジェボンズ

ジェボンズ

ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ(William Stanley Jevons)とは、

1835年〜1882年にイギリスで活躍し、限界効用理論を唱えた新古典派経済学者

です。

ジェボンズは「経済学理論」を著し、限界効用逓減の法則や無差別の法則などを提唱しました。

メンガー、ワルラスらと並んで限界効用理論を唱えた一人です。

ジェボンズの「経済学理論」についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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ジェボンズ 経済学理論

2−4 ワルラス

ワルラス

レオン・ワルラス(Leon Walras)とは、

1834年〜1910年にスイスで活躍し、一般均衡理論を唱えた新古典派経済学者

です。

ワルラスは一般均衡理論やワルラスの法則などを唱えた経済学者です。

ワルラスの法則とは、

各経済主体の予算制約条件を総計すると、全ての財の需要量と供給量の価値額は常に等しくなるという法則

です。

一般均衡理論とは、

完全競争下では、社会全体における財市場は最終的に均衡状態に至るという理論

です。

ワルラスについてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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ワルラス 一般均衡理論 ワルラスの法則

Part 3:おすすめの書籍

もっと「古典派経済学・新古典派経済学」・経済思想史を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。

Part 4:まとめ

いかがでしたか?

古典派経済学・新古典派経済学」をまとめると、

【古典派経済学・新古典派経済学】 まとめ
・古典派経済学:労働価値説に基づいた経済学の総称
 ・アダムスミス:国富論・道徳感情論
 ・マルサス:人口論
 ・リカード:比較生産費説
 ・ベンサム:功利主義
 ・J・S・ミル:自由論・功利主義論・経済学原理

 ・セイ:セイの法則

・新古典派経済学:ケンブリッジ学派のマーシャルの経済学やオーストリア学派、ローザンヌ学派を指す経済学派

 ・マーシャル:経済学原理
 ・メンガー:限界効用理論
 ・ジェボンズ:経済学理論

 ・ワルラス:一般均衡理論・ワルラスの法則

以上です。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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