Introduction:社会契約論とは?
社会契約論とは、
国家が国民の権利を保証・維持する代わりに、国民は国家への一定の服従をすると言う契約を結ぶ理論
この記事では、社会契約論で有名な
ホッブズ・ロック・ルソーの三人の社会契約論を解説していきます。
それではそれぞれの特徴や違いを見ていきましょう。
Part 1:トマス・ホッブズ:「リヴァイアサン」
ホッブズとは、
・1588年〜1679年に活躍したイングランドの哲学者
・主な著作:「リヴァイアサン」・「法の原理」
です。
リヴァイアサンに書かれた、社会契約の内容を見ていきます。
1-1 自分のやりたいことが善である
ホッブズは、善悪の判断の基準は欲求であると主張しました。
そして、自分がしたいことが善であるとともに、自分がしたくないことが悪であると唱えました。
したいこと=善 したくないこと=悪
1-2 自然状態=万人の万人に対する闘争
ホッブズは、欲望に従う人々で形成される自然状態を仮定しました。
自然状態では、万人が欲求を満たすために力(パワー)を求めることで、相互不信に陥ると主張しました。
やがて、パワー獲得への欲望や所有物の奪い合いが起こり、最終的に戦争状態になると考えました。
1-3 社会契約による国家の必要性
社会契約に基づく国家の必要性を説きました。
国家は、所有権の保証などの秩序維持を行う、それに対して国民は、国家に服従をする、という契約を交わして国家を作るべきであると唱えました。
ホッブズは、国民は国家に絶対的に従うべきであり、抵抗は許されないと主張しました。国民による抵抗が戦争状態を引き起こしてしまうと考えました。
ホッブズのリヴァイアサンをより詳しくまとめた記事が以下です。是非ご覧ください。
Part 2:ジョン・ロック「市民政府二論」(統治二論)
ロックとは、
・1632年〜1704年にイギリスで活躍した、哲学・政治思想家
・主な著作:「市民政府二論」(統治二論)・「人間知性論」
です。
市民政府二論に書かれた、社会契約の内容を見ていきます。
2-1 王権神授説否定
王権神授説とは、
国王の権利は神から与えられたものであり、絶対に従うことが必要であるという思想。
絶対王政のもとで支配的なこの考えに、ロックは、聖書に基づいてないことを理由に反対しました。
2-2 社会契約による国家の必要性
ロックは、自然状態における人々は理性的であると考えました。
しかし、理性的な人々で営まれる社会に貨幣が導入されることにより、富の蓄積が可能になりました。
それによる格差の拡大が奪い合いを引き起こし、戦争状態になると考えました。
戦争状態を回避するため、所有権を保証する国家を形成し、国民はそれに服従するという社会契約を結ぶと考えました。
国家が所有権を保証しなければ、国民は抵抗する権利があると考えました。
ロックの市民政府二論をより詳しくまとめた記事が以下です。是非ご覧ください。
Part 3:ジャン=ジャック・ルソー:「社会契約論」
ルソーとは、
・主な著作:「社会契約論」「エミール」
3-1 自然状態=相互的孤立状態
ルソーは、自然状態に生きる人間たちは、孤立して生きていると仮定しました。
孤立した個人が生活のために自分で全部のことをしなければならない状態です。
しかし、他者からの略奪や暴力なども起こる可能性もあり、安全の保証がされていない状態のため、個人間の契約による共同体の形成が起こると考えました。
3-2 社会契約による共同体の形成
孤立した個人が集まって契約によって共同体を形成し、共同体に属する財産や身体を保護することで安全を確保しようとしました。
共同体に属する人は権利を共同体に譲渡することで、個人の権利が侵害されることを防ぐと考えました。
共同体の権利は誰にも犯されず、個人の権利を保証・付与することができるようになるとしました。
3-3 一般意志による国家の形成
安定した共同体が発展するにつれて、「一般意志」による国家の形成が起こると主張しました。
一般意志とは、
人民が理性的に政治参加して得られる政治的意志
人々の意見の総意によって国家という主権が作られます。
具体的には、「立法」という形で人々の意志が反映され、国家の秩序が形成されていくということです。
国民の意志に基づいて法が作られ、国家がそれを執行するという構図になります。
Part 4:おすすめ本
もっと社会契約論を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。
Part 5:まとめ
いかがでしたか?
三人による社会契約論の違いを比較すると
以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました。