ジョン・ロック【市民政府二論】とは?社会契約論・自然法などわかりやすく解説

Introduction:ジョン・ロックはどんな人?

ジョン・ロック(John Locke)とは、

ジョン・ロック

・1632年〜1704年にイギリスで活躍した、哲学・政治思想家

・主な著作:「市民政府二論」(統治二論)・「人間知性論

・思想:イギリス経験論・社会契約論

古典的自由主義の源流 

ロックは、ピューリタン革命や王政復古、名誉革命などが起こった激動の時代を経験しました。

そのような時代背景の中で、社会契約論イギリス経験論を唱えました。

イギリス経験論の父と呼ばれるロックですが、名前は知っているけど説明はできない人は意外と多いのではないでしょうか。

ロックの思想は、アメリカ独立宣言に影響を及ぼしました。

この記事では、名著である「市民政府二論」(統治二論)を軸に、社会契約論自然状態自然法など、ロックの思想をわかりやすく解説していきます。

Part 1:『市民政府二論』:国家の必要性を主張

市民政府二論を簡単に要約すると、

1 王権神授説を否定

2 社会契約論に基づく国家の必要性を主張 

と、大きく2つのパートからできています。

特に2番がややこしいので、頭を整理して理解してください。

Keyword:王権神授説・自然状態・労働所有論・所有権・抵抗権

1-1 王権神授説否定

王権神授説とは、

国王の権利は神から与えられたものであり、絶対に従うことが必要であるという思想。

これは、チャールズ1世(国王)に仕えた政治思想家であるロバート・フィルマーが唱えたとされています。

 

 

フィルマーは、聖書によると

・神がアダムに与えた族長支配権が王権の起源である

・アダムを受け継ぐ国王は、支配の正統性が認められる

と主張し、王権神授説を唱えました。

しかし、これに反対したのがロックです。

ロックは、

・聖書にそのような記載はない

・国王はアダムを受け継いでいない

と批判しました。

先述したように、ロックは革命や内乱を経験し、国家のあり方や王政への疑問を抱くようになりました。

なぜ内乱や革命が起きるのか、王政は適切な体制なのか、国家の必要性とは、などを考察し、王政への批判を始めました。

王権神授説に基づく王政こそ、革命や内乱の原因であると主張し、王権神授説を批判しました。

では、ロックは王政の代わりにどのような体制が適切であると主張したのでしょうか?

1-2 社会契約論に基づく国家の必要性

ロックは、王政の代わりに国家の必要性を主張しました。

しかし、ただ単に国家を作った方がいい!と言っても説得力がないので、社会契約論や自然法、労働所有論などを根拠に国家の必要性を訴えました。

1つずつ段階を踏んで説明していきます。

1-2-1 自然状態・自然法

まず初めに、自然状態という仮定を考えました。

自然状態とは、

自然法によって守られた理性ある万人の平和な暮らしを意味します。

(ホッブズのいう自然状態(万人による万人のための闘争)とは異なります)

つまり、「自然法」に基づいて、理性的に行動すると仮定しています。

自然法とは、人工物ではなく、神による不変で絶対の法です。

自然法の特徴は、

・人間は、平和への情念がある。死への恐怖快適な生活への意欲がある。

・理性的な人間は、自然法を守り、安定した生活を送ることができる。

・自然法に違反する人は、万人から処罰される

では、自然状態からどのように戦争状態へ移行するでしょうか

1-2-2 自然状態から戦争状態へ(○○の導入がきっかけ!?)

ロックは、労働所有権論を唱えました。

労働所有権論とは

自身の労働によって得たものは自分に所有権があるという考えです。

つまり、農家が作った野菜などは、その農家に所有権が付与されるということです。

ロックは、各人の所有権を確立することで奪い合いなどによる自然状態の崩壊が避けられると主張しました。

また、各人は利用できる分だけ所有するべきであるとも主張し、必要以上の所有は、格差の拡大を生み、戦争状態を引き起こすと考えました。

しかし、あるものの導入によって戦争状態になると言いました。

それは、貨幣です。

貨幣は、価値尺度、交換手段、価値貯蔵手段という3つの役割があり、貨幣によって富の蓄積が可能になりました。それによる格差拡大で、所有権の奪い合いが怒り、自然法を逸脱する人々が増え、戦争状態になると考察しました。

 

 

つまり、自然状態のままだと、貨幣の導入により戦争状態になるため、不十分であるとしました。

そこで、国家の必要性を主張しました。

1-2-3 国民と国家の契約:社会契約

ロックは、国家を所有権の確立のために必要であると主張しました。

国民は、国家に所有権を保証してもらう代わりに、一定の服従をするという義務を負う契約を交わします。

これを、社会契約といいます。国民と国家の契約ですね。

国家は所有権の確立、国民は一定の服従を保証して契約するというわけです。

(ここでいう服従とは、国家が作った法律に従うといったことです)

国家が所有権の守らなければ、国民には抵抗権があるとも主張しました。

王政の一方的な支配ではなく、社会契約に基づく統治のあり方です。

 

 

具体的には、国家の役割の中でも

1. 法律、2. 裁判官、3. 執行権力を確立による所有権の保証を提示しました。

ロックのいう所有とは生命自由資産の三種類です。

ロックは前提として、自由・平等の重要性を説いていたため、自由を抑圧する絶対王政とは対立しました。

国家との契約の範囲内での自由を尊重していたため、古典的自由主義の源流と言われています。

Part 2:おすすめ本

もっとロック・市民政府二論を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。

Part 3:まとめ・関連記事

いかがでしたか?

ジョン・ロックの「市民政府二論」を簡単にまとめると、

【市民政府二論】 まとめ

王権神授説を否定

自然状態自然法を仮定

貨幣の導入による自然状態の崩壊

社会契約に基づく国家の必要性を主張

以上です。

社会契約論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

【社会契約論】とは?ホッブズ・ロック・ルソーの違いもわかりやすく解説

Web大学 アカデミアは、他にも様々なジャンル・トピックを解説していますので、是非ご覧ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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