Introduction:トマスホッブズってどんな人?
トマス・ホッブズとは、
・1588年〜1679年に活躍したイングランドの哲学者
・主な著作:「リヴァイアサン」・「法の原理」
・思想:機械論的世界観・唯物論・人工的国家論・社会契約説
・現実主義(リアリズム)の源流
・チャールズ2世(国王)の家庭教師
ホッブズは、スペインの無敵艦隊がイングランドに襲来したときに生まれたと言われており、「 恐怖と共に生まれた 」と呼ばれています。
ホッブズが生きた時代は、宗教戦争やピューリタン革命など、激動・混乱の時代でした。
時代の影響を激しく受けたホッブズの思想は、今もなお受け継がれています。
それでは、その時代背景と「リヴァイアサン」の内容を解説していきます。
Part 1:時代背景
ホッブズが生きた時代背景を簡単に要約すると、3つの影響があります
① 社会の混乱:革命・内戦・無秩序
② 科学進歩:科学に基づいた学問の進歩
③ 価値観の混乱:宗教戦争
幾多の革命や宗教戦争などは、ホッブズの思想に強く影響を与えました。
1-1 社会混乱の時代
ホッブズは17世紀の危機という時代を経験しました。
17世紀の危機とは
三十年戦争・イングランド内戦・経済停滞・気候不順による凶作など、ヨーロッパで社会的な事件や不安が頻発したこと。
ヨーロッパにおける政治的・社会的危機を背景に思索を深めたホッブズならではの鋭い洞察は、今でも強い影響を与え続けています。
1-2 科学革命の時代
17世紀は「科学革命」が起きた時代でもありました。
科学革命とは、
従来の神学や宗教的世界観に基づくのではなく、数値やデータに基づく科学が進歩したこと。
17世紀以前は、キリスト教的な前提が学問においても支配的であり、神学が盛んでした。
宗教的な前提を取り払い、データに基づいた科学主義に重きをおいた学者たちは、多くの功績を残しました。
有名な偉人は、
などが挙げられます。
1-3 価値観混乱の時代
多くの内戦・革命・宗教戦争が起こったと同時に、科学革命による宗教的世界観への疑念が巻き起こったことで、価値観の混乱が起こりました。
しかし、キリスト教的世界観の崩壊を防ぐ勢力・権力者と学者との間にも軋轢が生じるなど、価値観が多様化しました。
こうした背景もホッブズの思想に影響を与えました。
Part 2:内容解説
「リヴァイアサン」を簡単に要約すると、
・自分がやりたいことが善である
・欲望に従って、戦争状態になる(万人の万人に対する闘争)
・社会契約による国家の必要性
ホッブズの価値基準・善悪の判断・自然状態・社会契約とは?
3ステップにわたって解説していきます。
Keyword:万人の万人に対する闘争・自然状態・社会契約
2-1 自分のやりたいことが善である
ホッブズは、善悪の判断の基準は欲求であると主張しました。
人間はあくまで欲求に従って生きる生き物であり、欲望から逃れることはできないといいました。
そして、自分がしたいことが善であるとともに、自分がしたくないことが悪であると唱えました。
したいこと=善 したくないこと=悪
欲求が価値の中心になることで、価値ヒエラルキーの転倒が起こり、身分制社会の打倒や社会の諸矛盾の解放が起こると主張しました。
激動の時代を生きたホッブズらしい思想であると言えます。
2-2 自然状態=万人の万人に対する闘争
ホッブズは、欲望に従う人々で形成される自然状態を仮定しました。
自然状態では、国家などの共通権力がなく、無政府状態です。
自然状態では、万人が欲求を満たすために力(パワー)を求めることで、相互不信に陥ると主張しました。
やがて、パワー獲得への欲望や所有物の奪い合いが起こり、最終的に戦争状態になると考えました。
最終的には、誰も欲求を満たすことができず、勤労への意欲も削がれ、死への恐怖が支配するといいました。
これを、万人の万人に対する闘争といいます。
万人が富や権力を欲望のままに争う闘争という意味です。
そうした戦争状態を避けるために、国家権力が必要であると主張しました。
2-3 社会契約による国家の必要性
ホッブズは、ジョン・ロックと同じく社会契約に基づく国家の必要性を説きました。
国家は、所有権の保証などの秩序維持を行う、それに対して国民は、国家に服従をする、という契約を交わして国家を作るべきであると唱えました。
しかし、ロックの主張とは異なる点が2つあります。
ロックとの違い
① ロックは、所有権の保証がされなければ、国家に抵抗する権利があると主張しましたが、ホッブズは、国家への抵抗は戦争状態へ逆戻りすると主張しました。
② ロックは、毛塀の導入が戦争状態を引き起こすと考えましたが、ホッブズは、欲望のために力を求めることが戦争の原因であると唱えました。
ジョン・ロックの「市民政府二論」で社会契約について解説していますので、是非ご覧ください。
Part3:おすすめ本
トマス・ホッブズの「リヴァイアサン」を簡単にまとめると、
・時代背景:戦争・科学革命による価値観の混乱
・欲求に従う万人は、無政府で無秩序:万人の万人に対する闘争
・国家による秩序維持・統治が必要(抵抗は許されない)
以上です。
社会契約論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。
Introduction:社会契約論とは?
社会契約論とは、
国家が国民の権利を保証・維持する代わりに、国民は国家への一定の服従をすると言う契約を結ぶ理論
この記事で[…]
Web大学 アカデミアは、他にも様々なジャンル・トピックを解説していますので、是非ご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
Part 4:まとめ
いかがでしたか?
トマス・ホッブズの「リヴァイアサン」を簡単にまとめると、
・時代背景:戦争・科学革命による価値観の混乱
・欲求に従う万人は、無政府で無秩序:万人の万人に対する闘争
・国家による秩序維持・統治が必要(抵抗は許されない)
以上です。
社会契約論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。
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社会契約論とは、
国家が国民の権利を保証・維持する代わりに、国民は国家への一定の服従をすると言う契約を結ぶ理論
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最後までご覧いただきありがとうございました。