【国際レジーム論】国際関係論における国際レジーム論をわかりやすく解説

Introduction:国際レジーム論とは?

国際レジーム論(Regime Theory)とは、

無政府状態の国際社会において、多様なアクターが相互依存を管理するための制度・ルールを研究する理論

です。

国際レジーム論は、グローバルガバナンス論と並んで学ぶことが多いです。

グローバルガバナンス論についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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グローバルガバナンス論

レジームは、「体制」「制度」という意味です。

本記事では、国際レジーム論の特徴と具体例を解説していきます。

 

【国際レジーム論】 要点
・国際レジーム論:無政府状態の国際社会において、多様なアクターが相互依存を管理するための制度・ルールを研究する理論

・具体例:国際連合・GATT・WTO・IMF・核拡散防止条約・京都議定書

・リベラリズムからの見方:国際協力のためのレジームで、囚人のジレンマを克服

・リアリズムからの見方:大国の価値と利益を反映させ、統治するためのレジーム

Part 1:特徴

国際レジーム論は、国際関係論における基本的な理論の一つです。

1−1 理論の基盤

様々な学者がレジームの定義を述べていますが、中でもスティーヴン・クラズナーによる定義が一般的です。

クラズナーによる国際レジームの定義は

「行為主体の期待が収斂する原則、規範、ルール、決定手続きの集合(田中・中西「新・国際政治経済の基礎知識」(2004)より引用)」

です。

国際レジーム論は、無政府状態の国際社会において、国家・非国家アクターが国際レジーム(制度やルール)を作成して、国際的な課題に取り組もうと試みます

国際社会には、多様なアクターが協力して国際レジームを作成して取り組むべき課題が山積しています。

難民問題や環境問題といった越境的な問題の対処や、経済的な協力のための国際レジームを形成します。

1つの問題に対して複数のアクターが独自に対策を講じると、非効率的であると同時に、アクター間に摩擦が生じることもあります。

多様なアクターが自由に行動することによる非効率性や危険性もあるため、レジームを形成することで対処を試みました。

1−2 具体例

国際レジームの具体例は、

国際連合

GATT(General Agreement on Tariffs and Trade):関税及び貿易に関する一般協定

WTO(World Trade Organization):世界貿易機関

IMF(International Monetary Fund):国際通貨基金

核拡散防止条約

京都議定書

などが挙げられます。

GATTやWTOは、貿易における世界的な国際レジームです。

このレジームを通じて、国際貿易の制度を構築してルールを整えました。

核拡散防止条約は核兵器に関する国際レジーム、京都議定書は環境問題に関する国際レジームで、それぞれのルール・制度を構築して問題が起きないようにしました。

レジームがない中で、各国が自由な振る舞いをすると、ある国にとって不利益になるなどの軋轢が生じ、国際関係が悪化する危険性があります。

それらを防止する意味でも、国際レジームは機能していました。

1―3 リベラリズムからの見方

国際レジーム論は、リベラリズム的な立場から捉えたものと、リアリズム的な立場から捉えた考え方があります。

国際レジーム論は、リベラリズムのアプローチが優勢であると言われています。

国際関係論におけるリベラリズムについてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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リベラリズム

リベラリズムの立場から見た国際レジーム論は、国際協力を達成するためにレジームを形成すると考えます。

国際協力や相互依存を重視するリベラリズムは、レジームを通じた国際秩序の安定を目指します。

また、レジームを形成することで「囚人のジレンマ」を克服できると考えます。

囚人のジレンマとは、

お互いが協力することで高い利益が得られることがわかっていても、裏切ることで利益が得られる状況では、協力ができなくなるジレンマ

です。

囚人のジレンマはゲーム理論における有名なジレンマです。

国際協力における囚人のジレンマとは、国際協力をせずに自国の利益を追求したり、フリーライド(ただ乗り)をする国がいることで、国際協力をしようとするアクターがいなくなるという状況です。

国際レジームという制度的枠組みがあることで、囚人のジレンマを克服できるというのがリベラリズムの考え方です。

自己中心的な振る舞いやフリーライドができないような制度(レジーム)を構築すれば、囚人のジレンマが起こらず、国際協力が可能になるということです。

1−4 リアリズムからの見方

国際レジーム論はリベラリズム的な見方が主流ですが、リアリズム的なアプローチもあります。

国際関係論におけるリアリズムについてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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リアリズム

リアリズムは、国際レジームを「大国の利益や価値を国際社会に押し付けたもの」と捉えています。

これは、国際協力のための制度的枠組みと捉えるリベラリズムとは対照的と言えます。

リアリズムは、覇権的国家が国際社会を統治するために国際レジームを形成すると考えました。

そして、国際レジームは大国の価値を色濃く反映したものであり、大国の都合の良いものとなっているということです。

このように、国際レジーム論にはリベラリズムとリアリズムからのアプローチがあります。

Part 2:おすすめの書籍

もっと「国際レジーム論」・国際関係論を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。

Part 3:まとめ

いかがでしたか?

国際レジーム論」をまとめると、

【国際レジーム論】 まとめ
・国際レジーム論:無政府状態の国際社会において、多様なアクターが相互依存を管理するための制度・ルールを研究する理論

・具体例:GATT・WTO・IMF・核拡散防止条約・京都議定書

・リベラリズムからの見方:国際協力のためのレジームで、囚人のジレンマを克服

・リアリズムからの見方:大国の価値と利益を反映させ、統治するためのレジーム

以上です。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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