【リベラリズム】国際関係論におけるリベラリズムの特徴や批判などわかりやすく解説

Introduction:リベラリズム(自由主義)とは?

リベラリズム(Liberalism)とは、

国家間の相互依存可能性や国際協調を重視する国際関係論における理論

です。

リベラリズムは、リアリズムと同様に国際関係論で最も基礎的な理論です。

リアリズムについてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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リアリズム

本記事では、国際関係論におけるリベラリズムを解説していきます。

【リベラリズム】 要点
・リベラリズム:国家間の相互依存可能性や国際協調を重視する国際関係論における理論

・特徴:主権国家以外のアクターに注目・制度を重視・国際協調・相互依存

・批判:理想主義

・思想的起源:古典的自由主義・カント・ベンサム・JSミル

Part 1:リベラリズムの特徴と批判

現代のリベラリズムはリアリズム批判から生まれ、悲観的なリアリズムと比べて、リベラリズムは楽観的であると言われています。

国際関係論におけるリベラリズムの特徴を解説していきます。

1−1 主権国家以外のアクターに注目

リアリズムは、無政府状態の国際社会において主権国家のみがアクター(行為主体)であると考えます。

それに対してリベラリズムは、主権国家以外のアクターである国際機関やグローバル企業の役割や影響力に注目します。

国際社会では、国家だけではなく国際NGOや国連、GAFAなどの巨大企業の影響力は無視できません。

このようにリベラリズムは、多元主義的な考え方に基づいていました。

1―2 制度・体制を重視

リアリズムは、無政府状態の国際社会で国家が自己中心的に行動すると考えましたが、リベラリズムは、国際社会の制度や体制の役割を重要視しました。

例えば、GATT・WTOといった国際経済体制や、EUといった政治経済体制を形成するように行動することです。

また、核開発を抑止するために国際法を整備したり、戦争防止のために平和条約を締結したりすることで平和を維持しようとするというのがリベラリズムの考え方です。

国益追求のために行動する国家を前提とするリアリズムとは対照的であると言えます。

1−3 国際協調の可能性

リアリズムは国際社会が権力闘争の場であると考えたのに対し、リベラリズムは、国際協調の可能性を指摘します。

リアリズムは、同盟の可能性は認めていましたが、あくまで国益・安全保障が目的であると考えます。

リベラリズムは、国家間は常に国益を追求して他国と権力闘争をするのではなく、平和のために協調することもあると主張します。

国家中心主義的に行動する場合もあるが、状況によっては国家間協調することもあると考え、リアリズムを批判しました。

1−4 相互依存の重視

リアリズムは、相互依存が高まることで戦争がより悲惨なものになると考えます。

それに対してリベラリズムは、相互依存関係が深まるほど、戦争の危険性が低くなると考えます。

貿易や資本の移動といった経済相互依存体制や条約などの相互依存関係が深まるほど、戦争によって失うものが大きくなるために戦争を起こす可能性が低くなると考えました。

このように、悲観的なリアリズムと楽観的なリベラリズムは対照的であると言えます。

1−5 リベラリズム批判

しかし、リベラリズムは現実を楽観的に捉えていることから理想主義と呼ばれ、現実を反映していないと批判する声もあります。

相互依存が深まると戦争が起こらないという考えや、功利主義的に考えると戦争に走る国はないという考え、民主主義の国では国民が損をする戦争を選ぶことはないという楽観的な思想は、リアリストから批判の対象となっています。

実際に、民主的国家が戦争を起こした例や、相互依存関係がありながらも戦争が起きた例がある点から、リベラリズムの限界がしばしば指摘されます。

Part 2:リベラリズムの思想的起源

リベラリズムの思想的起源は17世紀まで遡ります。

2−1 古典的自由主義

リベラリズムの源流は、古典的自由主義であると言われています。

アダムスミスやリカードのような経済的リベラリズムとロックやモンテスキューの政治的リベラリズムが融合したのが古典的自由主義であると言われています。

経済的リベラリズムは、古典派経済学や新古典派経済学、ネオリベラリズムといったものに受け継がれていきます。

国際関係論におけるリベラリズムは、政治的リベラリズムを源流として発展しました。

ジョン・ロック(John・Locke)は、1632年〜1704年にイギリスで活躍した哲学者です。

ロックは「自由主義の父」とも呼ばれ、リベラリズムの源流であると言えます。

ロックは、「市民政府二論(統治二論)」のなかで社会契約論を唱えました。

その中で、所有権や自然権を認めて社会契約をすることを主張しました。

ロックの「市民政府二論」についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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2−2 イマニュエル・カント

イマニュエルカント

イマニュエル・カント(Immanuel Kant)は、1724年〜1804年にプロイセン王国で活躍した哲学者です。

国際関係論におけるリベラリズムの基礎を築いたのがカントであると言われています。

カントは「永遠平和のために」という著書の中で、世界市民法連邦制といった国際政治体制を提唱しています。

カントは平和のための条件や構想を提示し、国際関係論におけるリベラリズムの基礎を固めました。

この考えは、ウィルソンが第一次世界大戦後に設立した国際連盟の思想的基盤になっています。

2−3 ベンサム

ベンサム

ジェレミ・ベンサム(Jeremy Bentham)は、1748年〜1832年にイギリスで活躍した哲学者・経済学者です。

ベンサムは功利主義的観点からリベラリズムの立場に立ちました。

功利主義とは、

制度や行為の社会的な望ましさは、それによって生じる功利(効用)によって決まるという考え方

です。

個人や国家は、幸福・効用を最大化するために行動するため、それを阻害する戦争は起こらないとベンサムは考えました。

平和的な状態が各人の効用を最大化するため、戦争は起こらないというリベラリズム的な立場に立ちました。

ベンサムの功利主義についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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ベンサム 功利主義

2−4 J・S・ミル

J・S・ミル

ジョン・スチュアート・ミル(John Stuart Mill)は、1806年〜1873年にイギリスで活躍した哲学者・経済思想家です。

ミルは「自由論」を著し、リベラリズムの立場に立ちました。

自由論を通じて、自由とは何か、自由が制限される時などを定義し、リベラリズムの基礎を築きました。

「自由論」についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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JSミル 自由論

このように受け継がれてきたリベラリズムの思想は、ウィルソン大統領などによって採用され、国際政治経済体制に反映されました。

Part 3:おすすめの書籍

もっとリベラリズム・国際政治を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。

Part 4:まとめ

いかがでしたか?

リベラリズムをまとめると、

【リベラリズム】 まとめ
・リベラリズム:国家間の相互依存可能性や国際協調を重視する国際関係論における理論

・特徴:主権国家以外のアクターに注目・制度を重視・国際協調・相互依存

・批判:理想主義

・思想的起源:古典的自由主義・カント・ベンサム・JSミル

以上です。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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