【サッチャリズム】政策の内容や国際的な影響などわかりやすく解説

Introduction:マーガレット・サッチャーはどんな人?

マーガレット・サッチャー(Margaret Hilda Thatcher)とは、

1925年〜2013年に活躍した政治家で、イギリス初の女性首相。保守党党首。

です。

サッチャーは、保守的で強硬な姿勢から、「鉄の女(Iron Lady)」と呼ばれました。

イギリス初の女性首相かつ、イギリス初の保守党の女性党首です。

本記事では、サッチャリズムの時代背景・政策内容を解説していきます。

【サッチャリズム】 要点
・時代背景:伝統的な福祉政策・英国病
・ネオリベラリズム:個人の自由の尊重や市場原理に基づいて、政府による個人・市場への介入を最低限に留めるべきという考え
・小さな政府を目指す

・政策:ビッグバン・労働組合と対立

Part 1:時代背景

サッチャリズムの政策が取られたのは、イギリスの時代背景が影響しています。

1−1 福祉的経済政策

第二次世界大戦後のイギリスでは、世界恐慌の教訓からケインズ経済学厚生経済学に基づいた福祉的な政策が主流になっていました。

ケインズ経済学・厚生経済学についてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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世界恐慌で景気が悪化したことで、それまで主流だった古典派経済学・新古典派経済学の有効性が疑われ、ケインズ経済学の福祉的な政策が有効であると考えられました。

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大きな政府として市場に介入して企業を国営化することで産業を保護しました。

世界恐慌といった景気が悪い時期は有効だった福祉的な政策ですが、景気が向上すると、政府の介入が非効率を生み出し始めました。

その結果、「英国病」という状況を生み出しました。

1−2 英国病

英国病とは、

社会保障の充実や国営化といった福祉的な政策によって、財政悪化・既得権益の発生・勤労意欲の低下といった問題を引き起こした現象

です。

伝統的な福祉政策をとっていたイギリスは、景気が上向きになっても福祉的な政策を継続したために競争力が低下し、経済成長が停滞しました。

政府が市場に介入し続けた結果、国際競争力の低下や膨大な社会保障費による財政悪化といった問題が発生しました。

また、充実した失業保険や高税率の所得税といった福祉的政策が労働のインセンティブを奪い、勤労の意欲低下という問題が発生しました。

さらに、オイルショックが発生し、不況にもかかわらず物価が上昇するスタグフレーションが発生しました。

このような状況から、労働組合が賃上げを求めるストライキを行なったり、公共サービスの労働者がストライキを行いました。

その結果、ごみ収集や病院、学校といった公共サービスが停止し、国民は大きな不満をかかえ、「不満の冬」と呼ばれました。

このような福祉的政策の限界によって不満が蓄積したイギリスでは、サッチャーが台頭する準備が整いました。

Part 2:サッチャリズムの政策内容

サッチャリズムは、伝統的な福祉的政策とは対照的な政策を展開しました。

2−1 ネオリベラリズムに基づいた政策

サッチャリズムは、ネオリベラリズム(新自由主義)に基づいた政策です。

ネオリベラリズム(Neoliberalism)とは、

個人の自由の尊重や市場原理に基づいて、政府による個人・市場への介入を最低限に留めるべきという考え

です。

ネオリベラリズムは市場の効率性を評価し、政府による介入は非効率であると考え、小さな政府を目指します。

ネオリベラリズムに基づいた政策は

規制緩和・民営化・緊縮財政

などが挙げられます。

サッチャーは、様々な規制を撤廃することで、企業間の競争を促進しました。

既得権益や特定の事業を保護するための規制は、経済的効率性を損なうという考えに基づいて、規制緩和が行われました。

市場原理では、企業の競争の促進によって経済成長が達成されると考えます。

またサッチャーは、国営の水道や電気、鉄道、航空といった事業を民営化し、政府による非効率的な運営をやめました。

国営企業を民営化することで、政府支出を抑えることに成功しました。

また、福祉的政策をやめ、社会保障費を抑える緊縮財政政策を行いました。

企業のために所得税を減税しましたが、消費税は増税し、国民に負担を強いました。

このようにサッチャーは、規制緩和・民営化・緊縮財政といったネオリベラリズムに基づいた政策を展開しました。

2−2 ビッグバン(金融自由化)

ビッグバン(Big Bang)とは、

サッチャー政権下でロンドン証券取引所が実施した金融改革

です。

サッチャーは、アメリカの経済学者であるミルトン・フリードマンが主張したマネタリズムに基づいて、金融政策を行いました。

フリードマンについてまとめた記事は以下のリンクからご覧いただけます。

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マネタリズムとは、

貨幣の役割を重視し、貨幣の量によって景気や物価といった変数が決定するという経済理論

です。

ロンドン証券取引所は市場の効率性を高めるために、

・売上げ手数料の自由化

・単一資格制度廃止

・外部資本への開放

という改革を行いました。

競争を制限するような手数料を撤廃したり、外部資本へ開放することで競争を促進させました。

単一資格制度とは、

ブローカーとジョバーの兼業を禁止するという慣習的制度

です。

単一資格制度が廃止されることで金融の自由化が進展しました。

このようにサッチャーは、金融市場を自由化することで市場の効率性を高めようと試みました。

しかし、競争のために外国へ金融市場を解放した結果、外国資本よってイギリス国内の企業が淘汰される「ウィンブルドン現象」がおきました。

2−3 労働組合との対立

サッチャーは、サッチャリズムを行う上で障害となっていた労働組合と対立しました。

当時政治的影響力が強かった労働組合は、労働者の権利や労働環境改善などを主張し、福祉的な政策を求めていました。

労働組合は、福祉的政策と正反対な政策を進めるサッチャーと敵対することになります。

サッチャーは、労働法を改正することで労働組合を弱体化させました。

労働組合側はストライキで対抗しましたが、警察による弾圧といったサッチャーの権力に敗北しました。

労働組合を弱体化させ、政治的影響力を奪うことに成功したサッチャーは、ネオリベラルな政策を促進させました。

 

以上のような政策を行った結果、戦後最悪の失業率を記録しました。

また、所得格差が拡大し、貧困層が増えることで犯罪率も増加しました。

サッチャー政権の評価は、ネオリベラリズムを信奉する人とそうでない人の間で大きく分かれています。

Part 3:おすすめの書籍

もっと「サッチャリズム」を学びたいという人は、以下の書籍がおすすめです。

Part 4:まとめ

いかがでしたか?

「サッチャリズム」をまとめると、

【サッチャリズム】 要点
・時代背景:伝統的な福祉政策・英国病
・ネオリベラリズム:個人の自由の尊重や市場原理に基づいて、政府による個人・市場への介入を最低限に留めるべきという考え
・小さな政府を目指す

・政策:ビッグバン・労働組合と対立

以上です。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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